足部の重要な2つの機構!トラス機構とウィンドラス機構
足部には歩行に欠かせない2つの機構があります。
それは、『トラス機構』と『ウィンドラス機構』です。この2つの機構の役割と、歩行にどのように影響を与えるかを解説していきたいと思います。
衝撃吸収と安定性確保
足部の重要な機能として①衝撃吸収と②安定性の確保が必要になります。
足部には内側アーチ、外側アーチ、横アーチがあり、このアーチ構造が①衝撃吸収と②安定性の確保を担っています。
①衝撃吸収には『トラス機構』が働き、②安定性確保は『ウィンドラス機構』が重要になってきます。
それぞれに関して説明して行きます。
トラス機構
橋本 健史 著/『足アーチのキネマティクス』/関節外科 基礎と臨床/medical view/vol.34 No.1 2015 P29
足部が荷重を受けるとアーチ構造が潰れます。
その際に足底腱膜が伸びることによって衝撃吸収を行います。
この機能のおかげでアーチが崩れるのを防いでいるんです。
この構造は建築学の分野でも利用されているようですね。
ウィンドラス機構
橋本 健史 著/『足アーチのキネマティクス』/関節外科 基礎と臨床/medical view/vol.34 No.1 2015 P29
ウィンドラス機構とは、中足指節間関節(上図の指の曲がっている部分)が背屈することによって足底腱膜が巻き上げられます。
そして、足底腱膜の緊張が高まる事によって足部の安定性は確保されます。
また、伸ばされた足底腱膜はバネのように元の状態に戻ろうとする事で前方への推進力を得る事ができます。
実際の歩行周期で確認
では、早速以下の歩行の立脚相の図を見てください。
観察による歩行分析/医学書院/Kirsten Gotz-Neumann著
前半のイニシャルコンタクトからミッドスタンスにかけてはトラス機構が働き、足底腱膜の弾性によって①衝撃吸収されます。
また、後半のターミナルスタンスからプレスイングにかけてウィンドラス機構が働き、剛性の高まった足部によって②安定性が確保され、蹴り出しが可能になるのです。
まとめ:トラス機構とウィンドラス機構
足部の重要な2つの機構である『トラス機構』と『ウィンドラス機構』についてまとめました。
- トラス機構=衝撃吸収に働く
- ウィンドラス機構=安定性の確保
荷重がかかり始めるイニシャルコンタクトからミッドスタンスにかけては衝撃吸収機構であるトラス機構が働き、ターミナルスタンスからプレスイングにかけて足部の剛性を高め、ウィンドラス機構によって蹴り出しが行われます。
実際の臨床を考えてみると、特にウィンドラス機構がうまく機能せず、蹴り出しが不足している患者さんが多いイメージがありますが、どんな印象がありますか?
是非コメントなどいただけると嬉しいです。
今回、参考にした書籍はこちらです!!分かりやすいものばかりなので、是非読んでみてください。
- 作者: キルステンゲッツ・ノイマン,Kirsten G¨otz‐Neumann,月城慶一,江原義弘,山本澄子,盆子原秀三
- 出版社/メーカー: 医学書院
- 発売日: 2005/06/01
- メディア: 単行本
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また、今回紹介した参考文献である観察による歩行分析など、整形外科勤務の理学療法士には必須のおすすめ参考書ばかりをまとめた記事もありますので、良かったら読んでみてください。
>>>>>>>整形勤務の理学療法士におすすめ!臨床で明日から使える参考書6選!
過去記事では歩行の足部の機能で重要なロッカーファンクションについてもまとめています。是非読んでください。